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派遣労働者の新しい働き方として2018年頃に登場した無期雇用派遣。今日では、従来型の有期雇用派遣と並ぶ派遣労働者のワークスタイルのとしてすっかり市民権を獲得し、多くの派遣労働者が有期雇用派遣から有期雇用派遣に切り替えています。
無期雇用派遣(常用型派遣)とは、その名の通り、「期間の定めがない派遣契約」のことです。従来型の有期雇用派遣(登録型派遣)では、派遣先企業での就労期間が終われば派遣元企業と労働者との雇用契約も同時に解消されますが、無期雇用派遣の場合、派遣先企業での就労期間が終わっても雇用契約は存続します。
無期雇用派遣には、派遣労働者にとっては、新しい派遣先が決まるまでの期間も給与が発生するというメリットがあり、派遣元企業にとっては、派遣先についての指示を派遣労働者が断れなくなるというメリットがあります。もともとは労働契約法の改正および労働者派遣法の改正がきっかけとなって誕生した無期雇用派遣ですが、今日では、従来型の有期雇用派遣と並ぶ派遣労働者のワークスタイルの一つとしてすっかり定着したと言えるでしょう。
有期雇用派遣では、派遣先企業での就労期間の終了と同時に派遣元企業と労働者との雇用契約も終了しますが、無期雇用派遣では、派遣先企業での就労期間が終わっても労働者と派遣元企業との雇用契約は解消されません。
この雇用契約期間の違いは、有期雇用派遣と無期雇用派遣の大きな違いの一つです。
また、有期雇用派遣と無期雇用派遣とでは、同じ職場で働くことができる期間にも違いがあります。
有期雇用派遣の場合、同一の職場で働くことができる期間は原則として最大3年であり、派遣労働者が同一の派遣先で3年以上勤務したい場合、派遣先企業が過半数労働組合などで意見聴取を行う必要があります。
他方で無期雇用派遣の場合、同一の職場での勤務についての期間制限はありません。
正社員と無期雇用派遣との違いについても確認しましょう。
正社員と無期雇用派遣との違いは、一言でいえば雇用主の違いです。正社員の場合、雇用主はいうまでもなく就労先企業ですが、無期雇用派遣の場合、あくまで派遣元企業が雇用主となります。そのため、無期雇用派遣で働く労働者は業務では派遣先企業の指揮に従いながら、労働条件や給与体系は派遣元企業のそれに従うことになります。
有期雇用派遣で働く労働者は、
の3つの条件を満たすと、「無期転換申込権」を得ることができます。
この無期転換申込権を得た労働者は、派遣元企業に対して無期雇用派遣契約への転換を申請することが出来ます。派遣元企業はこの申請を拒否することは出来ず、現在の有期雇用派遣契約が終わり次第、労働者と無期雇用派遣契約を新たに結び直す必要があります。
派遣先の会社の中には、派遣した社員に長く働いてもらいたいとすることも多くあります。それは派遣社員も同様で、派遣した会社の待遇ややりがいに魅力を感じていた場合、同じ会社に長く務めたいと考えるでしょう。派遣先の会社や派遣社員からの要望があった場合、無期雇用派遣への転換が行われます。
5年ルールとは、同じ企業に5年以上働いている派遣社員から申し込みがあった場合、無期雇用に転換しなければならないとするルールです。派遣社員が所属する企業とは派遣元会社のこと。つまり5年以上同じ派遣元会社に務めている社員であれば、5年ルールによる転換の対象者となります。
適用の条件として、契約の更新回数が1回以上、現時点で当該派遣会社と5年以上契約している、有期契約が通算5年以上(6ヵ月以上契約のない期間がある場合を除く)の3つが挙げられます。
いわゆる3年ルールとは、「同じ事業所で同じ派遣社員を派遣するのは最大3年まで」という派遣法のルールのことです。
同一の事業所へ同じ社員を3年以上派遣し続ける方法として、事業所内の部署異動などの方法もありますが、3年ルールでは例外として派遣会社に無期雇用派遣されている場合、3年以上働いてもらうことが可能となります。
派遣先から同じ部署内で同じ社員に引き続き働いてもらいたいと要望があり、かつ派遣社員からも要望があれば、無期雇用派遣への転換を行ってもよいでしょう。
派遣元会社が無期雇用をするメリットは、派遣社員の教育に関わるコストが掛からない点が挙げられます。派遣元会社は新しく採用した社員の教育も行う必要があり、派遣先へ送り出すためにある程度の期間と費用がかかります。無期雇用派遣が増えればこうしたコストが掛からなくなるため、派遣元企業にとってもメリットとなるでしょう。
そのほか、より高度な人材へ育成することができる点もメリット。専門的なスキルを学んでもらうことで、さまざまな企業へ派遣することが可能となります。
無期雇用に転換すると契約の打ち切りが難しくなるため、人員の調整がしづらくなる点がデメリットとなるでしょう。繁忙期・閑散期など時期によって人員に差が出てくる場合はこの点に注意が必要となります。
また、無期雇用に転換した社員から正社員との待遇の差に不満が出てくるなどの点も注意が必要となります。
2020年に施行された新しいパートタイム・有期雇用労働法、労働契約法、労働者派遣法、及びこれらを根拠とする「同一労働同一賃金」は、同一の企業で同様の業務を行っている場合、雇用形態の違いが給与や福利厚生の待遇差の原因になってはならない※と定めています。ところで、3年の期限制限がない無期雇用派遣の場合、派遣先企業の社員とほぼ同等の業務を派遣労働者が担当するということは珍しくありません。
そのため無期雇用派遣の場合、派遣元企業は派遣労働者の業務実態の把握に努める必要があります。そして、ほぼ同じ業務を行っているのにも関わらず派遣労働者の待遇が就労先企業の社員のそれよりも悪いことが判明した場合には、待遇を改善しなければなりません。
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