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派遣会社もハラスメントの問題は無視できません。社会的信用の失墜やコンプライアンスの問題につながりかねないからです。
パワハラ防止法の正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(略称:労働施策総合推進法)」とする改正労働施策総合推進法です。ハラスメントの問題が深刻化したからこそ成立した法律といえるでしょう。
パワハラ防止法により、企業にはパワハラの予防のための具体策や方針の明確化が求められます。方針は全従業員への周知と啓発も必要です。また、従業員の中には非正規雇用労働者も対象に含まれます。
パワハラの定義は以下の3つを満たしているかがポイントです。
現実問題として明確な定義はむずかしいとされています。ポイントは「業務上、適正な範囲を越えているかどうか」です。たとえば、新人が危険な行為をしたためと怒鳴った場合「注意喚起や警告や教育」と判断される可能性があります。
ただ、厚生労働省の指針では「平均的な社会一般の労働者の感じ方」と示されています。社会一般も労働者の感じ方も、それぞれで考え方が異なる面はあるでしょう。そのため、定義付けがむずかしい面はあるのです。なお、度重なる暴言により労働者も苦痛を感じ、就業環境に問題を感じているなら、パワハラと認定される可能性は高いかもしれません。
パワハラとともに、セクハラ対策も必要です。セクハラに関しては、男女雇用機会均等法で、防止措置を義務付けられています。なお、セクハラは男女間に限らず、同性間でも成立する点には注意が必要となるでしょう。企業には防止措置を行う必要があります。
また、性別に関するセクハラ問題を複雑化させている要因の1つに、性的指向と性自認があります。相手の性自認を考慮せずに行った言動が、セクハラと判断されてしまう可能性があります。性的志向と性自認への理解を通じた差別発言の防止が求められています。
派遣会社もパワハラ防止法について熟知が求められます。そのうえで、具体的な施策や方針の明確化が必要です。ただ、管理者側だけ、理解と把握して完結すればいいというものでもありません。「全従業員への周知と啓発」が、パワハラ防止法で義務付けられているからです。全従業員は、派遣社員やパート労働者といった、非正規雇用労働者も含まれます。
また、企業は相談窓口の設置も必要です。パワハラに対する迅速で適切な体制と環境を構築し、整備しなければなりません。就業規則やルールづくりとともに、個人情報の拡散を防ぐためのプライバシー保護も必要です。
派遣先だけでなく、派遣元にもハラスメント防止義務があります。ただ、派遣先企業でハラスメントが発生した場合、派遣元に対する監督はむずかしい立場に置かれるのです。
派遣社員が派遣先でハラスメントの被害者になった場合、体制づくりとともに、事実関係の調査と派遣先への働きかけが必要です。
派遣元の対応としては、派遣元管理台帳への記録を行うことが重要となります。苦情の受付日、内容、処理状況などを記載します。苦情処理はその都度、記載が必要です。「ハラスメントがあった」ということの証明の1つになるため、派遣元管理台帳への記録は必須といえるでしょう。
パワハラ防止法には刑事罰や罰金刑などの罰則はありません。ただし、厚生労働大臣が必要と判断すれば企業に助言や指導、勧告される場合があります。この指導や勧告にも対応しなかった場合、企業名が公表されるリスクがあります。社会的信用の失墜など大きなリスクがあるため、パワハラ防止法の遵守が求められます。
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