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ここ最近、労働局需給調整事業部による指導件数は増加傾向にありますが、その理由はどこにあるのでしょうか。また、そもそも労働局需給調整事業部による指導は何を目的にしたものなのでしょうか。
各都道府県の労働局が管轄する需給調整事業部では、派遣労働者の安定雇用を守るためにさまざまな取り組みを行っており、派遣元企業に対する「指導」もそうした取り組みの一つです。
この労働局需給調整事業部の指導には「定期指導」、「労働者の告発における指導」、「労災についての指導」の3つがあり、目的も指導内容もそれぞれで大きく異なります。
三つのそれぞれについて簡単に説明すると、
となっています。
2018年に改正された労働者派遣法、労働契約法、パートタイム・有期雇用労働法が2020年に施行されたことを受け※1.、同じ企業で同じ内容・責任・負担の仕事をしているのであれば、雇用形態に限らず同様の待遇をしなければならないとする「同一労働同一賃金」が全国で始まりました。
以降、労働局需給調整事業部の定期指導でも「同一労働同一賃金実施のための労使協定方式」に関する調査を行っています。例えば大阪労働局は、
特に、令和2年4月1日に施行された改正労働者派遣法については、派遣労働者と派遣先に雇用される通常の労働者との間の不合理な待遇差を解消すること等を目指すものであり、派遣労働者の賃金等の引き下げにつながっている事案等を把握した場合には、厳正な指導監督を行うとともに、制度周知や相談支援に取り組みます。
引用元:厚生労働省 大阪労働局|令和元年度労働者派遣事業・職業紹介事業等に係る指導監督状況及び令和2年度指導監督方針について[PDF]
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/content/contents/202006261022.pdf
という方針を大々的に打ち出すなど、同一労働同一賃金の周知、及び法令違反業者の指導に各都道府県の労働局は積極的に取り組んでいます。
近年、労働局需給調整事業部による定期指導は増加傾向にありますが、こうした同一労働同一賃金をめぐる状況はその理由の一端をなしているといえるでしょう。
労働局需給調整事業部の定期指導を受ける場合、以下の流れで対応を行います。
準備しなければならない書類としては、派遣社員それぞれの契約書から派遣元管理台帳、抵触日通知書、労働条件通知書や就業条件明示書の写し、派遣労働者のキャリアアップ教育訓練についての取り組みをまとめた資料、派遣労働者の雇用安定化のための取り組みをまとめた資料など、多岐に渡ります。 定期指導の実施が決まってから慌てて準備するのでは間に合わない可能性もあるため、普段からこれらの書類についてきちんと整理しておくようにしましょう。
なお、定期指導の結果、派遣労働者の扱いについて不適切な点が見つかり、さらに労働局需給調整事業部の再三の助言・指導にも関わらず是正のための取り組みが見られなかった場合、行政処分の対象となることもあります。「知らなかった」や「忙しかった」では済まされないため、注意が必要です。
労働局需給調整事業部の定期指導によって派遣労働者の不当な扱いが明らかになった場合、労働局需給調整事業部から改善のための指導があります。
労働局需給調整事業部の指導は、次の4段階を経て最終段階である行政処分に至ります。
是正勧告書の交付を受けても改善のための取り組みを行わない企業は、行政処分の対象となり、企業名が公表されます。
なお、行政処分には、次の3種類があります。
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